ビキニ着る話
今日は割と仕事の手が空いていた。
先週まで仕事部屋に引きこもり、
椀子そばのように隣の上司から新規の仕事を投げられていたから
数週間ぶりのシャバ(隣の加工室)
主にパートさん達がメインで仕事している部屋。
加工室で手が足りてない所の作業に加わっていたら
また新規の仕事が入ってきた。
仕事部屋に戻ると
隣の上司が突然
「何を思ったか、そういえば水着あったよなって探してみたのね。
3着持ってたはずなのよね。ビキニのと、1着は人にあげたかもしれない」
「おえ」
判断する間もない速さで口から嗚咽が出ていた。
少し間が空き、
「試しに着てみたのよ。そしたら着れた!
もうこの歳になると着ないじゃない?
だから何十年ぶりかに着たんだけど、着れた!」
で?
「水着の柄ってあんまり流行りとか無いじゃない?だからまだいけるんじゃないかなって」
「流行なくはないですけど、古いのは分かると思いますよ」
「私地味なの好きだから大丈夫だと思う」
で???
いや、聞かない。聞きたくはない。
そのあとまた唐突に隣の上司が
「私スポーツとか全然興味ない。格闘技なんて特に意味わからない」
「私も興味ないですよ」
「私負けず嫌いじゃないからかな?負けてもなんとも思わないの。まあ、いっか。って」
「それって楽しいですか?負けず嫌いにも良い悪いはあるけど、負けず嫌いがいるとトランプとか楽しいじゃないですか」
「ああ、トランプねー。別にいいかな」
ボドゲにハマってるからうっかりトランプと言ってしまった。
負けず嫌いじゃない宣言する人は「負けず嫌い」って気がするんだけど。まあ、いっか。