机のはみ出しは人間関係もはみ出す
快速急行社の出荷が間に合ってなかったから午前中は検査してた。
加工室に決まった席が無いので空いていたパートのテニスさんの左隣に座った。
長テーブルを2人で使っていてテーブルの方に仕切りはない。
足元の引き出しを2人の間に入れて基本的に道具は2人で使うルール。
テニスさんはパート仲間から嫌煙されている事を知っている。
あからさまにバトる事は無いけど、
「テニスさんもう嫌だ」と苦情が来て、こちらが混ぜるな危険と配慮するような関係の人もいる。
ちょっと神経質っぽくて変わった人なのは分かるが、実感は無かった。
結果、神経質ではあった。
自分の事に関して神経質に気を遣っていて、他に目がいってない。
テニスさんが右利きだからか、道具を右側に置いている。
そういえば数年前にもテニスさんの隣の席を使用した事があった。
今とは席の配置が違う頃。
その頃からテニスさんの隣に人は座っていない。その頃は両隣あってどっちも空いていた。
1人で2.5人分の範囲使用したりしていて、「隣使わせて」と言うと、
使用率を2.1人分に控えてくれる。
はみ出てるやないか。
そんな事もあったが、その時も今回も、誰も何も言わないし自由にやらせてもらってるから、気が回らないだけと思い、
テニスさんが不在中に道具を真ん中に置いてみた。
テニスさんが戻ってきた。
右利きなのに道具が左側にあるのでやりにくそうではあった。
でも何も言わない。共有するものという記憶はあるみたい。
しかしセロテープの向きはすぐに変えられた。
それ1番使うやつ。
そしていつの間にか道具は右側に戻っていた。
わたしは誰もいない業務室から道具を奪って来た。
隣で寝ているテニスさんにわかるように常識的な音を立てて何か気がついてもらおうと思った。
期待したのは「あ、使うよね!独り占めしてたー」って事。
音に全然気がつかないようでうとうとしたまま。
音が常識的過ぎたのか。
もう起こす気にはならない。
休憩中に他のパートさんに聞いたら近い人はみんなそういうの経験しているらしい。
表情は揃って、苦虫を噛み潰したような。
でもそれは小さな事でまだ何か不満があるんだろうなって感じを察した。
ムードメーカーさんは実際に領域を侵されている所を見た事がある。
全然気にならないし、人に言われるまで気がつかなかったらしい。
さすが。
だからか、部屋の模様替えする前も後もずっとテニスさんの近くにムードメーカーさんを座らせている。
テニスさんとムードメーカーさんと同じ島で仕事してる笑い袋にも聞いてみた。
新人の頃、笑い袋が貸してと言ったら「これは私が使うから他の所から持ってきて」と断られたらしい。
よっぽど「真ん中置かせてください」って声かけてようか迷ったけどカンで止めといて良かったー
「は?同じもん机に置いたら使用率狭くなるじゃん」ってなりそう。
あと相変わらず使用領域も超えてくるらしい。
最近は隣の席を避けている様子。
新人にも容赦なく言える分け隔てなさ。
ある意味では信用できる。
隣の上司も同じく他人の机を我がものといて使う性格。
テニスさんの比ではない。
そして同じく人から避けられている。
机のはみ出しはコミュニティに属せない表れなのか。